叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

ぞうきんをなかなか干さない子

子どもたちの椅子の下に、雑巾をつるしている。

他の学校は知らないが、愛知県の小学校ではよくあります。

椅子の下に、せんたくばさみをとりつけていて、

子どもの椅子の下には、床すれすれのところに、

ぞうきんが干してあるのです。


ところが、そのぞうきんが、どうしても床に落ちる子がいる。

つまり、せんたくばさみで、いちいち、はさんでつるすのが、面倒なんでしょう。

だから、洗濯バサミをつかわず、つるん、と

棒にひっかけておくだけ。

したがって、授業中に椅子をゆらしたり、立ったり座ったりすれば、

かんたんにそこから、ずり落ちてしまうのであります。


これを、教師は、負けちゃいけない、とばかりに、

何度も注意します。


ところが、こういうケース、ちょっとした、ささいなことであればあるほど、

教師から見て、「そんなもの、すぐに直せる癖だ、かんたんだ」

と思うものであればあるほど、

なかなか、直らないのです。

洗濯ばさみで、ちょちょっと、はさむ。

その動作を、面倒がって、やらないのであります。

大人から見ると、超、かんたんなことなのに。



するとね。

先生は、


こんなに簡単なことなのに!
自分の言うことを聞かない子だ!



と思うわけ。

めげたり、いらいらしたりしちゃう。



こういう場合、言葉での注意、うながしは、やめた方がいい。

たぶん、その子自身も気づいていないような、なにか「事情」があると思います。

つまり、その子にとっては、なにか合理的と思えなかったり、方法が気に入らない場合や、

「ぼくはもっとこうしたい」という思いが、潜んでいたりするときがある。

あるいは苦手意識や、よくない思い出など、

なんらかの潜在的な理由があるのではないか、とみます。



こういうとき、まったく新しいやり方を提案すると、良くなるときがあります。

「ぞうきん、そこにかけるの、やめようか」

「うん」

「そこだと、すぐに落ちちゃうね」

「うん。下にかがむのが面倒くさい」


こういう子、います。

かがむ格好を、生理的に嫌う子。

大人からすると、信じられないけど。




「じゃあ、置き場所を変えよう。この箱の中にしよう」

Aくんの場合は、そうじロッカーの金属面に、マグネットでくっつけておける、小さなバスケットをとりつけて、そこにかけておくことにしました。

バスケットは、100円ショップで買ったものです。

一発で気に入りました。そして、かかさず、そこに入れ続けてくれています。

「そうじ道具は、みんなここ」

Aくんの頭の中も、すっきりできたようです。

汚れて「きたない」雑巾が、自分の座るイスの下にある、というのが、

なんとなーく、気になっていた(いやだった)みたいです。

綺麗にすすいで洗ってるのだし、そんなん気にするかよ、と思うのですがね、

こっちからすると・・・。




小さなことほど、やり方を大々的に変えると、効果的なことが多いです。

oosouji_zoukin