叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

どうやらやんちゃくんとうまくやれそうです




五感散歩(ごかんさんぽ)という言葉があった。
どこかで聞いた。思い出せないが、自分の中には残っている。

五感をはたらかせながら、さんぽをする。
むずかしいようで、単純で、でもやっぱりむずかしい。

田んぼのあぜ道にたくさん生えているナズナをさがして、

「これ、知っている?」

子どもたちは、ナズナ、とすぐにこたえる。
すごい。さすがだ。  (神奈川の子とはちがうなあ・・・と心の中で)

ナズナを見つけて、みんなでスケッチすることにした。
鉛筆のみ。
色はつけない。
形、そこに集中するため。

自然界の形は、すべてこれ、意味がある。
どうしてこの形か、この大きさか、すべて意味があり、それが生命活動の維持に直結している。
江川多喜雄先生が、東京の小石川植物園を講義しながら歩かれていたとき、そんなことをおっしゃっていた。

だから、色はつけない。
まずは、えんぴつのみで、線画を書かせる。

うまいへた、ではない。
その植物に、直面していくこと。それだけで、子どもはものすごく充実した顔つきになる。
おそらく、こんなふうに「スケッチ」したこともないのだ。

さて、そのナズナをスケッチした次の日、なんと、クラスの中の暴れん坊将軍が、

「せんせい、こんなのはえてたゾー」

と持ってきたのが、なんともおもしろい。ナズナにとてもよく似た植物。
色が黄色で、ぺんぺん草の実、通常はうちわのようになっている部分がまあるい。

これなんだろうねえ。すごいの見つけたなあ。
見つけて、ちゃんと持ってきてくれたのがうれしいなあ。

「うれしい、うれしい」
を連発する。
これだけで、暴れん坊将軍がとてもいい顔になった。
その瞬間、

オレ、こいつが好きになれそうだ、という気がした。
この感覚を忘れないで行こう。
去年のやんちゃ姫のことは、どうも好きになれずにきてしまった。
教師が子供を好きになれずに、どうして教育できようか。
教師から出ている「キライビーム」は、教室全体を暗くする。

そうならないよう。

「うれしいー!」

を連発している。