叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

Kくんを無理やり ほめる(ほめられる、ということの学習)




低学年なので、WISCもまだ。
でも、IQは70程度。ぎりぎりだ。

行動の特長は、広汎性発達障害自閉症スペクトラム
みんなといっしょには、あそべない。
自分からふらり、と足のおもむくままに歩きだす。
話しかけても、会話の終わらないうちにどこかへ。
会話、というのにもならない。
こちらから、なにか話しかけていても、言い終わらないうちに、目線が最後まで合い続けることがなく、ちらっと見て、そのまま関心がなくなったかのように、どこかへ歩こうとする。

「いや、今は先生が話をKくんにしているよ。きいていてね」

それも、3秒ほどしか、関心がむかない。
先生の顔を見ても、3秒後には、ふーっと意識がどこかへ行くのと同時に、目線もどこかへずれていく。
また、今話しかけているのとはまったく無関係の虫の話題を、自分からしだす。こちらは、返事を待っているのに。

「いま、先生は、Kくんに話しかけているよね。聞いたんだよね。Kくんに答えてほしいと思って待っているよ。お返事がほしいな」

とくりかえしても、

「しらない。かたつむりってね・・・」(いま、かたつむりの話なんてしてないのに)




いやあ、自閉症スペクトラム、ということではないかなあ。
と思うが、親にはその知識はなく、家での困り感も教えてくれない。
しっかりやっています、というだけ。
親としてもしっかりやっているし、Kも家でがんばってる、と。
家庭訪問でも、「わが家の隙を見せるものか」
と、気合が入っているよう。


教室でのふるまいの、困り感を、なにかで伝えていくしかない。
困り感?
もちろん、Kくん本人の。


そんなKくん。生まれたばかりのうさぎに、スポイトで水をかけて、風邪をひかせて殺してしまった。
でも、Kくんは、シャワーのつもりだったらしい。
Kくんは、責められない。
でも、担当のS先生はカンカン。

担当のS先生が、Kくんをこっぴどく、叱りつけた!


担任の先生が、S先生の剣幕に動揺して、さらに追い打ちをかけるようにして、叱ってしまった。
これで、Kくん、ノックアウト。
顔が無表情になり、廊下にうずくまってしまった。

Kくん、しばらく固まって、給食まで動かなかった。



そんなKくんを、無理やりほめる。
Kくんの手をひいて、○○先生に、お届けモノをしよう。
職員室のプリントを届けよう、といって、いっしょに職員室のプリントをとり、それを○○先生の教室まで届ける。

○○先生が「ありがとう」と言った時、

「えらかったね、○○先生にほめられたね」
と、ほめる。

Kくんは、○○先生からほめられ、私からもほめられる。
実際は、ついてきただけ。
でも、ほめられる。

ほめられる、ということを、学習するのだ。


これが、まあ、技術と言えば技術か。