叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

前、こうしたらうまくいったよね~ 教師が口癖にするべきセリフ集その1


周囲の先生方の指導を、食い入るように見る。
それは、大きな学びのチャンスだから。
他の先生が、子どもたちに指導している場面を見ながら、

「おお!このフレーズは、うちのクラスの子たちにもぜひ言って聞かせたい!」

と思うフレーズがある。
それを、週の指導簿(週案簿)にちょこまかと記入しているが、
夏休みなので一度、自分なりにまとめてみたい。


事例 その1


アスペルガーの子である。
プライドが高く、自分が失敗したりうまくいかなかったりするとすぐに取り組みをやめてしまい、パニックを起こす子。
あるいは、パニックまでいかずとも、物に八つ当たりする子がいる。

ある日は、傘がうまく一度で開かなかったことに腹を立て、傘にブチ切れていた。
「この傘、クソだ!!」

そして、傘を壁に何度もバシバシと当てて、骨をずたずたに折ってしまう。
母親は、常に困った顔になってしまった気の毒な(それでも非常に整った顔立ちの)方だが、もはやパニックになってしまった子に何も言えなくなってしまっている。

さて、この自閉症スペクトラム症候群の男子児童に、やさしく接することのできる、凄腕の特別支援担当の女性教師がいる。
その方が、算数のドリルをひろげて、男子にやらせている。

(その、ドリルをすわってやれる、というだけでもすごいことなのだが)

そこで、ふと聞いていると、

「おしい!」
とか、
「あとちょっとだったのに!」
とか、
非常にナイスなタイミングで、声をかけている。
男の子の表情が曇る、わずか0,1秒前に、こういう明るい声かけをされている。
すると、男の子が、曇る表情にならずに、すぐ晴れた表情にもどってくるのである。
ここまでの名人芸の域に達するまでに、どのような努力をされたのだろうかと頭の下がる思いがする。

さて、この先生が、キメ台詞のように使ったフレーズが、これだ。

3,2,1

どうぞ!



フレーズ その1

「前、こうしたらうまくいったよね~」


うまくいったときのことは、なかなか覚えていないアスぺの子たちに、おそらく非常に顕著に有効であろうフレーズ。

これ聞いたら、ちょっとやってみよっかな~、という気分になるだろうと想像する。

逆に、うまくいかなかったことばかり覚えている自閉症児もたくさんいるから、うまくいったことを、ぜひ思い出させてあげたい。そのためにも、いつも頭において、何度もくりかえして言ってあげたいと思う。