叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

子どもの精神的な耐性を培うために

私の勤務校では、運動会が春に行われたので、もう終わってしまった。

秋になって、今度は、息子の通う小学校の

「秋の大運動会」

がある。


息子の学級の先生は、熱血の男性教師。

学級運営もすばらしく、保護者からの信頼も厚い。

「ぜったい、つなひき、勝つ!!」

といって、つなひきの特訓をしたり、クラス対抗リレーの練習をしたりと、希望の炎を燃え上がらせている。



さて、強い学級集団をつくりあげるには、コツがある。

なによりも、楽しさが、底辺に漂っている、ということが大事であります。

テニスの錦織くんが今、全米オープンに出て頑張っているけれど、彼のプレイは、とてものびのびしている。

今年は惜しくも初戦敗退で、悔しそうでしたが。

錦織くんを育てるときに、コーチが気を付けたことは、できるだけ強制にならず、押しつけにならず、教え込みにならず、緊張させず、耐えるような練習をさせなかった、ということ。

これは、多くの人には、信じられないことだろう。

天才だから、特別なのか・・・。



錦織くんは、

見た目、きつい練習を、黙々とやる。

それは、だれも「させなかった」からだ、というのだから、つじつまが合わない。

つまり、自分から望んで、練習に飛び込んでいった、ということでありましょう。

これが「ゾーン」に入る準備として、非常に大切なのだそうで・・・。

巨人軍の張本選手が、全盛期の頃、投手の投げた球の、縫い目が見えた、というけれど、それは、極限に集中力が高まっていて、いわば

「集中の極限状態」

になっていた、ということらしい。

こういう、身体と心が過剰に集中している状況を、よくスポーツ選手などが、

「ゾーンに入った」

という。(もしくは、フロー、とも言う)

その状態だと、通常は過酷に思えることにも耐えられる。嬉々として、取り組める。

今の子どもたちが、こらえ性がなかったり、耐える力、つまり耐性に乏しい、と言われるのは、こういう集中状態に入った経験をもたないからだろう。

経験があればあるほど、ゾーンに入りやすくなる。
つまり、「耐性」ができやすい。過酷な環境にも、メンタルが打ち勝てるようになる。

スポーツクラブのコーチは、最近の子どもたちを見ていて、

「低年齢のジュニアたちが苦虫を噛みつぶしたような顔をして眉間にしわを寄せてプレーする姿が多いのがとても気になる」

と言っている。

つまり、

昔ながらの、

体罰・根性・耐性・鍛える・ 罵倒する

というスタイルでは、子どもがスポイルされる結果、一流の才能は開花しない、ということ。

眉間にしわ、という時点で、もうすでに、ストレス感じまくり、なわけね。

杉山芙紗子さん、という方がいる。
この方、テニスプレーヤー杉山愛の母であり、コーチでもある、という珍しい人。

その方も、

「めったに愛を叱らず、意思を尊重した」

と言っている。

この芙紗子さんは、早稲田大学で論文を書くのだが、一流のスポーツ選手を育てるときに、

「のびのび育てる」

か、

「強制と威圧で育てる」


か、どちらがポピュラーなのか、調べている。

論文の中で、こう書いた。

「1回3時間の練習を週6日間やり、試合初出場から約1年後には初優勝を果たしている。筆者は非常に近くで杉山愛と接していたが、テニスに関して口うるさく言った記憶は全くない。常に彼女の意思を尊重にし、叱った経験もごくわずかだ。筆者はコーチ、ディレクター、そして母として杉山愛に一人の人間として接し、「テニスは楽しく、すること全てを楽しむ」ことや「自主性を重んじ、強要はしない」ことを教えてきたつもりである。」



世界に通用する、一流プレイヤーを生み出すのは、どんな教育か。


結果は、のびのび、だ。

理由は簡単。メンタル。

耐性ができるから、だね。


参考)日本の若手トップアスリートにおける両親の教育方針に関する一考察
http://www.waseda.jp/sports/supoken/research/2010_2/5010A317.pdf