叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

「どうしたい?」 ~2通りのパターン~

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「どうしたいの?」

「べつにどうもしたくない・・・」



こういうやりとりが、あるのです。

子どもが何か言いたそうなとき、どうしたいのかを聞くと、

ちょっと目線を伏せがちにしながら、

「べつに、どうもしたくない・・・」

という具合に、どうも歯切れが悪い。

新しいクラスになって、それがどうも気になっていた。



一方で、どうしたいの?と聞くと、

待ってました!とばかりに、

○○したいです!!

と言う子もいる。


うちのクラスのKくんがそうで、なにやら私とつきあうコツを得てきたみたい。

「先生、誕生日会、したいです!!」

と、自信満々に、にこにこして言う。

わたしが、思わずつられてニコニコしながら、

「わはは・・・。いやいや、今はそんな暇、ありません」

と言うと、あちゃー、という顔をしている。
みんな、それを聞いて、ワハハ、と笑っている。


Kくんは、どうやら前の年からこういう役回りだったようだ。
学級でのポジションというのが、子どもにはあるのだが、Kくんはクラスの行事を、いろいろと先生に提案してくることが多い。
こういうことには慣れているのか、しょっちゅう私に何かを話しかけてくる。そして、クラスの友達は、わたしとKくんとの会話を楽しんでいるのだ。


Kくんのような、

「○○したいです!」

と声高らかに言うタイプの子もいれば、
まったく逆の子もいる。

少し引っ込み思案のようで、
まさか先生に対して、

「○○したい」

なーんていうことを、言えるわけがない、と思っているようだ。


「○○したい」

というのは、かなりハードルの高いセリフなのかも。
そんなことを言ったら、拒否されるか、怒られるとでもいうように感じているのだろうか。


そんなことを漠然と考えていたら、掃除の時間に、他学年の先生が子どもを叱っている場面に遭遇しました。






「あなたはこれをどうしたいの!!!」


台詞は似ているが、完全に子どもを責めている口調です。

どうやら、その子は、下足箱の近くにあった緑色の玄関マットのようなものを、掃除しようと思ったようだ。
そして、近くに水道場を見つけて、玄関マットをその上に広げ、
持っていた箒(ほうき)の柄(え)で、ほこりをはたこうと、パン、パンッ、叩き始めた。

そうしたら、どうやらその玄関マットは古かったか薄かったかしたらしく、激しくたたいた拍子に、マットの縁(ふち)が折れ曲がり、ついには切れちゃったのだ。

私はその近くで、自分のクラスの子どもと一緒にゴミを集めていたから、他学年の先生が叱っている、そのやりとりの一部始終が聞こえてきてしまった。


そのときに、

「あなたはどうしたいの!」

が聞こえてきたから、


「お?」


と思いました。


しかし、子どもは叱られているからか、何も言わず、間髪を入れず先生が、

「こんなことをしたら、マットが痛むに決まっているでしょ!!」

と、叫んでいました。



「どうしたいの?」

の返答を、聞かないみたい。




聞くつもりがないのに、「どうしたいの?」って聞かれるんだから、こりゃあ、子どもは、救われない気持ちになりますよ・・・




どうしたいの?

と聞かれたときに、おそらく、

「正解」

を言わないと許されないような、雰囲気があったんでしょう。



先生 「あなたはこれを、どうしたいの!」

子ども「きれいにしたい」

先生 「きれいにしたいって言いながら、箒なんかで引っ叩いたら、破れるに決まってるじゃないの!!」





こんなやりとりが、すっと浮かびます。

子どもの返答を、即座に拒否するつもり。

これじゃあ、「○○したい」なーんて、うかつに言えません。

子どもの苦労はこんなところにあるのでしょう。

「どうしたい」って聞くから、正直に言ったら、



速攻で否定



・・・。

大人に付き合うのも、タイヘンなのだ。












誕生日会をしたいです