叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

弱いところにひずみがくる

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「おうちで、お姉ちゃんに、いじめられている。」

書いてきたのは、Sさん。

日記はどんな内容でもかまわないことになっているから、こういう心境の吐露も、たまにはある。

で、そのSさんが、いかにも不機嫌に過ごす。

「Aさんの持っている持ち物が、Kさんの物と同じだ」と言って、

「Aさんは、いっつも、Kさんのマネばかりしてる!」

と、非難する。

持ち物が同じだと、なぜいけないと思うのか、理由は言わない。

なんだかイヤ、という。

ああ、Sさん、とても、不安定だ・・・。
友達に、いつもよりも、べったりくっついて過ごす。
目つきが、厳しい。

日記に書いていた、お姉さんのことがあるから、なんだろう。



そこへ、急に電話が!!

水泳の授業があり、Sさんがプール道具を忘れてきたから、おうちの人が届けてくれるという。
これはチャンス!
学校まで来ていただいた、お母さんと昇降口で立ち話をした。


すると・・・

「うちでも姉妹で喧嘩ばかり。毎日です。原因は分かっているんですけど・・・」

Sさんのお姉ちゃん、部活でしごかれて、ものすごく不安定らしい。
バレーボール部で県の大会に進むために、スパルタ風の特訓受けているんだって。
それも自分から望んでやっているふうでなく、どちらかというと下手なんだけど、上手なお友達に引っ張られて、お付き合いしているような雰囲気だから、特訓がツライ・・・。

たぶん、下手くそ!なんて、怒鳴られているんじゃないかナ・・・。

だから、Sさんに対して、お姉ちゃんが中学校から帰ってくると、いきなり挑戦状をたたきつけるような風で、さっそく口げんか、バトルが始まるそうな。

「もうまったく、思春期2人は、どうしようもない・・・」


お母さんはすっかり肩を落として、落胆して帰っていかれました。


さ、話はここで終わらない。
学校が荒れるのは、休み明けと運動会が重なる9月だと言われていますが、うちの勤務校は、まだ9月3日だというのに、この荒れ具合。すごいよね。おそらく全国的に、こういう雰囲気は多いと思うんだけど・・・(子どもも大人も、異常気象続きで疲れているのかもね)


なんと、放課後、職員室に電話がかかってきた。
Aさんのお母さんから。

「うちの子が、なんだか顔色がおかしいので聞いてみたところ・・・」

Aさんが、大変に元気をなくしていて、悩んでいるという。

原因は、Sさんに、

「Aさんは、いつもKさんのマネばかりしてる」

と非難がましく言われたことらしい。

「マネなんかしていないし、たまたま一緒だっただけなのに、なんでそこまで言われるのか、べつに私はSさんに対しては悪いことしていないと思う」

そりゃそうだ。
Sさんは、お姉ちゃんとのバトルで心身消耗中で、だれかに八つ当たりしなけりゃならん、という状況だったのだからね。たまたま目の前にいた、Aさんに矛先が向いてしまった、という可能性が高い。

しかし、それでAさんが、元気をなくしているらしいから、もうともかく電話で直接話して、元気出すように伝えておいた。


今回のストレスは、

中学校の部活の仲間OR先生?⇒Sさんの中学生のお姉ちゃん⇒Sさん⇒Aさん


というように、伝染していました。

そうやって悪いものが伝染しているのかもしれないし、Aさんのせいじゃないよ!、と伝えてあげたいくらいです。


幸福が伝染するのならともかく、ストレスが、弱いものへ、弱いものへ、と伝染するようじゃあ、ねえ・・・。


伝染を止める力を持てるのは、

「イライラしているのは、だれか」
「イライラしているのは、なぜか」


という視点を持つ人だと思う。


写真は、不思議な蜘蛛の巣の形。
不思議な蜘蛛の巣の形