叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

【6年生社会】歴史をどう教えるか

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もうすぐ3学期だ。

いつも6年生の担任になる時に考えるのは、歴史をどう教えるかってこと。

歴史、人気がないんだよね。
一部、戦国時代の好きな、戦国武将の好きな子たちはいるのだけど。
歴史の好きな子って、それほど、多くない。

で、動機が薄いわけ。

「なんでこんなこと、勉強するの?昔のことって、なんかどうでもいいよね、正直・・・」

古墳とか古い田んぼの跡とか、写真見てもそんなに・・・。
土偶で少し、ワハハ、Fくんに似てる~とか、・・・ちょっと受ける程度で・・・。

そこで、裏ワザを使う。
別に裏ワザでもないか。けっこう普通かもしれないけど。

それは、こんな方法。
通常の教科書のように、
弥生時代古墳時代飛鳥時代奈良時代平安時代
と教えるのでなしに、

逆に巻き戻していく。
平成⇒昭和⇒太平洋戦争⇒戦前の日本と諸外国、
というところあたりまで逆にやっておいて、子どもたちの興味関心が高まったところで、おもむろに、弥生時代から、じゃあ、振り返ってみましょう、とやる方法であります。

5月末くらいまでに、現代史の重要部分をやっておく。
すると、かなり、歴史への興味と、

「お、これって、大事な勉強なのかもしれん!」

ということが意識づけされます。
この意識がすごく大事でして、かったるい、なんでこんなことやるの~、という雰囲気では、大事な時間もエネルギーも(税金も)みんな無駄になってしまいますから・・・。


つまり、子どもたちにとって現代史は、歴史学習への大事な大事な『はじめの一歩』なのでありましょう。


そこで、来年はこんな授業に。

まずは、憲法のうち、自民党草案で削除が予定されている第97条を読み取る。


「この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」

キーワードがある。
なんだろうか。みんなで調べる。

『幾多の試練』
『人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果』


これは、一体、なんだろうか。

基本的人権認められなかった時代
と、
認められるようになった時代との間には、何があるのか?

どうやらそこの間に、
試練 や 努力

があったようだ。

サザンの2015年の新曲が資料になる。
教室で「平和の鐘が鳴る」を聴き、歌詞をみんなで読み込む。

過ちは二度と繰り返さんと堅く誓ったあの夏の日
未だ癒えない傷を抱えて長い道を共に歩こう

喪(うしな)ったものを希望に替えて 再び歩き始めた国(日本)

過ちとは何か。
未だ癒えない傷とは何のことか。
うしなったものとは何か。

これはみんな分かる。
戦争だ。

うしなったものを想像するのは、子どもにはかなり手ごわいかもしれない。
でも、3.11の大震災がある。
日本人が夢をうしない、職場を、生きがいを、家族をうしなってきた、ということが、想像できる。
太平洋戦争でも、まったく同じ。生存権すら、うしなってきたのが、日本のつい最近の歴史。


しかし、戦争という試練を乗り越えて、人として当然の生存権を獲得しよう、うしなったものを正常に戻し、希望に変えよう、と努力してきた過程があったのだ、ということが分かってくる。


つまり、太平洋戦争は、大きなターニングポイントだったのだ。

このターニングポイントで、

人々の日々の様子や考え、体制も、社会に漂う空気すらもがらりと変わった。

この、ターニングポイントをおさえる、理由や事象の説明も含めて、意味をはっきり知ることが、大事な歴史の勉強になるわけだ。


ここで、以後1年間の歴史授業のやり方、進め方を、一気にクラス中に周知してしまう。
歴史学習は、世の中の空気が【がらりと変わる】、ターニングポイントの前後をしっかりと理解することだ。これをやっていくのが、歴史学習なんだな、となる。

これが、ターニングポイントを踏み台にした歴史学習の基本形。
1学期に、子どもたちに学習スタイルの基本形を押さえておくことで、後の授業は、1年間ずっと、展開がすべてスムーズになる。

サザン・オールスターズ NHK放送90周年イメージソングを発表!

サザン