叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

子育てのコツの中のコツ

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これは子育てのコツの中のコツ。

人間社会では、どうしても年下がひいきされます。それが人情です。
大人が「かわいい」と思って関心を持ち、つきあってやり、話を聞いてやるとき、優先されがちなのは年下の子の方です。

まあ、それが当然で、人はもっとも小さなもの、かよわいものについて、親愛の情が湧くように、元来生まれついているのでありましょう。べつに悪いことではありません。
しかし、兄や姉はつらいでしょうね。
目の前で、自分以外に大事にされているものがある。どんな心持ちでしょうか。

子育ての大事な心構えは、兄や姉として生まれついた子たちの気持ちを想像してやることです。兄や姉が、弟や妹に対して、どのような感情を持っているのかを想像すれば、彼らの行動の裏にあるものが理解しやすいと思います。

子どもは、嫉妬の感情をあまり整理できていません。なぜかわからないが、むしょうに弟や妹にキツくなってしまうので、感情が混線している子もいます。
実は親の方は、年下をひいきをしているとは思っていません。だって、兄や姉については、十分手を尽くしてきたのですから!親からしたら、「お兄ちゃんはもう十分世話をした」と思いがちなのです。(多くの人は、これが落とし穴なんでしょう。)

兄や姉の立場の子は、どうしても一番幼い妹や弟の成長だけが家族の話題になりがちだと感じているのです。親としては、バランスをとっているつもりでも、実際の視線はどちらかというと、常に幼い子の心配に向けられがちです。玄関で靴を履く姿を見守るのも、外で何かをしている姿でも、親がじっと見守るのは、幼い子の方なのです。

兄や姉は、ちゃんと理解していますよ。親が弟や妹を心配する視線、その意味についても・・・。幼い子の方が心配だということも頭では分かるのです。親の行動が正しい、ということも知っています。

それでも、気持ちの中で、嫉妬の感情が静かに湧いてくるのです。
目の前で、親の「弟への関心の強さ」を見せられて、声にならない声で、「自分のことも、もっとみてほしい」と願うのは、自然の成り行きなのでありましょう。
親はどうするべきでしょうか。

夕ご飯のリクエストがあれば、年下でなく兄や姉の言い分こそ、たっぷりと聞き、十分に強く反応してあげることです。関心の大きさを態度や声に表して、年長のあなたこそたよりになるのよ、相談したいのよ、年長のあなただからこそ、夕ご飯のリクエストを聞いてあげたいと思うことです。

親は、万事、兄や姉への関心を強く持ち続けるのです。
それを感じとって、弟や妹が対抗しようとあれこれとやらかしますが譲りません。

「お兄ちゃんばっかり、ずるい」
と弟がダダをこねた時がチャンスです。
兄を大事にする理由を、しっかり諭して話すのです。

「あなたは気づいていないかもしれないけど、弟であるあなたのことを、お兄ちゃんはうんと心配してくれている。困ったときは助けようとしてくれているよ。お母さんは、それがちゃんとわかっている。だからうちでは、お兄ちゃんを大事にするんだよ」

最後に、
「お兄ちゃんに譲れたら、お母さんがあとで絵本読んであげるからね」
これで、おしまい。

どうです?やりすぎだと思いますか?
たぶん、このくらいやらないと、バランスがとれません。
このくらい、意識してやっていて、ちょうどトントン、といったところでしょうか・・・。

また、もし兄や姉が、弟や妹にチャンスを譲ったり、見守ってくれたりしている場面を見つけたら、そのことを弟や妹にも、教えます。あなたは兄や姉から大事にされているのよ、ということです。そしてそのあと、そんな兄や姉がとても好きだし、大事だよ、ということを親の口から、ちゃんと本人に声に出して伝えるのです。

そして・・・。

一番に親自身が、自身の嫉妬感情を整理することです。
実は、↑ これに尽きる。


自身の人間理解を深めると子育ては楽になるのですし、生きること自体が楽になります。(ただし、嫉妬は悪いことではないですよ、くれぐれも反省しておしまい、というだけにはしないようにしましょう!)



(教育機関誌連載コラムより抜粋)
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