叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

【運動会】巨大組体操が無くならない理由とは

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運動会で、高学年の組体操がなくならないのは、なぜなのか。

怪我をした学校から、やめていっている。
一旦やめてからの復活は、よほどのことがない限り、しない。
このことを考えると、確実に日本の国から、「組体操」は減っているはずだ、と思う。

ところが、実際には組体操をする学校がまだ多い。

考えてみればすごく不思議な話で、先生たちは高学年になると異口同音に、
組体操したくないわよねえ・・・
と話をするのですぜ。
理由は決まっていて、子どもたちに怪我をさせるわけにいかないからです。


でも、やめられない。
なぜ?

理由はさまざま考えられる。


保護者がやりたがってる?
・・・いや、そうでもないです。

先生たちが、
「保護者の希望で・・・」
とかなんとか、言うことはありますが、それは体裁でして・・・。
本音は
「先生たちがそう言わざるを得ないほどに、精神的に追い込まれている」
から、です。

わたしが考える理由は、以下。
やめたら責められる、と思っているから。

先生たちは、他から責められるのが嫌で、やめない、というわけ。

つまり、そんな幻想を抱いてしまってる先生たちのせいですナ。


なんで責められると思うのか。

それは、実は、
先生たちは、「責められる」ことについて、とても弱いから

なのであります!(言っちゃった!)

とくに、保護者から責められると、とても弱い。
いたたまれなくなって、授業や生活指導にすら、影響が出てくる。
親に責められると、同僚にも同じ点を指摘されて責められる。
さらに校長や教頭などの管理職からも、
「保護者に責められていましたよね」
と、同じことで何度も何度も繰り返し、責められているように感じる(勝手に)。
先生のモチベーションは一気に低下してしまい、責任回避のためにますます、

前年度

を真似るようになります。
そうすれば責められない、と考えるからです。

「だって、昨年も同じようにやっていて、とくに問題もなかったようですし。」

そういえば、とりあえず、責任回避はできる。

責められまい、という意識。

これがまず、第一にあるんじゃないか、と思う。


ほかにも、PTAの都合だとか中学校の先生の意見がどうとか、学校の文化的な背景を指摘する声もあるようですが、冗談いっちゃいけない。原因は、ただひとつ。この、

「自分の担当する年度にもしやめたとしたら、自分が責められる」

という恐怖です。

まあ、とことん責められると、人間は鬱になるそうなので、鬱になるのを防ぐため、と考えてもいいでしょう。




では、なぜ、保護者から責められると思うのでしょうか。

わたしは実際に組体操やめた学校に勤務したこともあるのですが、保護者から復活してほしいと要望が出ている期間は約3年ほどでした。
たった3年間ほどで、かなりPTAの方たちの意識も変わっていきました。
その3年間、頭を下げておれば保護者もだんだんと別の人に代わっていくので、それほど担任がつるし上げを食うこともないのですが、それでもやはり、少しでも責められたくない、というのが先生たちの本音なのではないかと思います。

こうしてみると、保護者のせい、というわけではないのです。
保護者は責めてないんですから。

組体操が美しいとか、文化的な意味をもつとか、子どもの精神を鍛えるとか、クラスの団結を生むとか、それらはあくまでも理由の一部としてはあるでしょうけど、最大の理由は、この

先生たちの『責められ回避』

という、本能に近いものではないでしょうか。



つまり、先生たちにとって、運動会は、子どものためのものではなく、「見せるもの」つまりショーのようなものなのでしょう。
そして、本当はどうか知りませんが、親も保護者も地域の方も、みんな、

運動会はショーのようなもの。

と思う意識が強いのではないでしょうか。
運動会のトラック競技を前に、ずらりと居並ぶ保護者のビデオカメラとiphoneの列を見れば、これはショーなんだな、と誰しも納得できると思います。

ショーだとすれば、なにもかも、すっきり理解できます。
先生たちは少なくとも、見に来られたお客様を満足させなければなりません。
そしてこのショーの出来不出来は、お客様の満足のレベルによるのでしょう。
ショーである以上、運動会の演技種目は、お客様のご要望にかなうものかどうか、という点がもっとも重要なのです。

評価がお客様の側にある、と分かっているのに、人気種目をやめようとする先生は少数派でしょうネ。


それにしても、なんで、人は、

「責められるのがいや」

なんでしょうかネ・・・。




追記:
すみません。これを読んで、
「なんで先生たちは、保護者から責められることに、そんなに弱いんだ!」と
先生たちを責めないでくださいネ。
先生たち、さらに強く、

もう金輪際、絶対に、絶対に、責められまい!!

と、心底、頑張ってしまいますから・・・。


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