叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

子どもにとっての、ホームとアウェイ

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保護者懇談会で、親が嘆くのは当然でありましょう。

「うちの子、家では本当にグダグダしてるんです。ボーッとしてるし、勝手なことばかりするし・・・。学校じゃ、ちゃんとやってるのか、心配!」

がっくりと肩を落として下を向いている。

これをきいて、私はうれしくなる。

それで、力をこめて、お母様に伝える。

「いやあ、学校じゃ、思い切りちゃんとやってます。しっかり者、というのは〇〇くんのことを言うんだな、と思ってます」

おうちの方は、わたしのセリフがリップサービスだと思うらしく、上目づかいに

「本当ですか?うちじゃあ、兄弟げんかもするし、親の前ではわがまま言ってばかり。ちょっと子育て失敗したかなあ(笑)って、いつも主人と嘆いているんですが」




冷静に考えれば、子どもがわがままを言うのは、当然でしょうな。

家で、わがままを言わない子どもは、おそらく親に気をつかっているのでしょう。

親に気を遣う。

親の機嫌をとろうとする。

親に嫌われまいと努力する。

これがどんなに不健全なことか・・・、少し考えれば、誰でも分かりますよね。



わたしは、そんなふうに下を向いて嘆くお母さんに、

「きっと、〇〇くんにとっては、おうちがホームなんでしょう」

と、語りかける。

「学校はアウェイだから、いろいろと気をつけて、自分のことはしっかりやらなきゃ、と思って張り切って頑張っているんだと思いますよ。その分、おうちで十分に英気を養っているのじゃないですか」

お母さんには、このホームとアウェイ、という言葉がしっくりくるようだ。
「あ、だからワガママ言ってるんでしょうかね」

お母さんは、ちょっと考えて、そう言う。




わたしは、話の締めくくりで、

「もしホームとアウェイが逆転してたら、おうちでは相当に気を遣っていい子をやるでしょうけど、ふだん緊張している分、学校がホームになっちゃって、担任のわたしは大変でしょうね。だけど、実際は、まったく楽をしてますから。〇〇くんのことで、苦労したことないですよ。・・・わたしが苦労する分、お母様に苦労していただいていて、本当に感謝です(笑)」

と言って、頭を下げると、たいていのお母さんは、ウフフフと笑って下さいます。

トマトの絵