叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

やはり御時世というわけか、初任者研修で「クレーマーに対するお茶の出し方」講義が行われている現状。


わが勤務校に、唯一、初任者の青年教師、Fさんがいる。

Fさんは、初任者研修に勇んで参加している。

最近、何度か開催されている研修の様子を少し聞かせていただいた。

「まず、保護者でクレームをおっしゃる方に、冷たいお茶を出すことを習いました」


これで、まず目がテンに。

たかだか5年前でしかない、わたしの初任者研修時代よりも、もっともっと時代が新しくなってきてる。
ちょっと、新しくなり過ぎ、という感も。

「へー。別にいいけど、ちょっと斬新過ぎない?」

わたしと同年代の女性先生が、コピー室でプリントを印刷しながら、会話に加わってくる。

「御時世というか・・・。いまどき・・・だよねえ」


まず、初任者研修で、「クレーマー」となる「保護者」という想定そのものが語られたことが、ちょっと、ドキっとする事柄である。
あからさまに語られている点。さらに、その明るさでもって、スーッと研修してしまっている点。淡々としすぎなんじゃないの、という、なんだか落ち着かない違和感があるなあ・・・。

で、どんな内容だったかというと・・・。


「えー、なんでも、百貨店でのお客様対応の基本技術なんだそうですけど」

Fさんは、研修で習ってきたばかりの知識を、ちょっとばかり恥ずかしそうに語り始めた。
水色のシャツに、細く真白い襟が見える、おしゃれな好青年だ。

「夏でも冬でも、どちらもつめたいお茶を出すのが普通なんだそうです」

「へー、なんで?」

「あ、わかった。クールダウンさせるためでしょう?」

「そのようです」


たしかに、ホットな珈琲なんて出してしまって、相手の目と気分が冴えきってしまっては、話が落ち着くどころでないだろう。
百貨店のお客様対応技術としての鉄則だ、というフレコミに、この話、妙にうなずける気がする。

「それから、お母様一人の場合でも、できるだけ一対一にならないこと。相手の数より、一人分、多く同席するのがコツだそうです。ですから、わたしだったらT先生といっしょに・・・」

つまり、同学年の先生を一人だけでもいいから多く、おそらくは主任の先生がいいだろうが、同席させて、2対1で対応せよ、ということらしい。

「お父さんも来られて、相手が二人だったら?」

「その場合は、こちらに管理職を一人増やして、3対2にすると。数的優位が大事なんですって」

なるほどねえ。

ちなみに、ネクタイ正装で対応するのがよいらしい。
また、相手が「地位にこだわりを持つタイプ」である場合、こちらから管理職の教頭や校長が出ていくだけで、ごねる時間が減るらしい。


・・・というような、なんだか本当か嘘か分からないような話が、初任者研修であった、というのだ。

「なんでも、この話を以前、10年研修でやったら受けたので、昨年は5年研修でやったんですって。そしたらまた反響があって、今年は初任者研でも、ということになったらしいです」


いいけど、なんだか、こういう知識って、本来は必要のない知識だと思うんだけどナぁ。


保護者と教師は、タッグを組むべき仲間でしょう。

まあ、いいや。


しかし、初任者研修の資料の中に、

 ○教師受難の時代を強く生きる

 ○うつになる前にSOSを!


というプレゼンの印刷資料があるのを見て、なんだか力がぬけてきました。


でも、私は、ずいぶん保護者にめぐまれている。

どの保護者に対しても、「おもてなしの心」でもって接すれば、ぜったいにみんないい人ばかり、と思えると思う。

保護者のみなさま、そうですよね・・?