叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

IQからEQ、そしてNQへ


IQからEQ、そしてNQだって。

NQという新しい言葉、指数の概念があるらしい。
そもそも、数値というのはいかがわしくて怪しいもので、指数、というものはひどくあいまいでしかない。検査の状況によってまったくちがってくるし、ちょっとしたことで大きく異なってしまうものに、あまり信用をおけないのがふつうの考えだろう。


わたしもそう思う。


ただし、指数概念の意味するところは、ちょっとおもしろい。

30年前は、IQ。インテリジェンス・クオウシエント。
知能指数の高さを求める教育だった。
次に、20年前くらいから、EQ(心の知能指数 Emotional Quotient)と言われ始めた。感性、思いやり、協調性が大事、ということで、道徳教育が強化されたりもしました。

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→写真は、当時の米国タイム誌の表紙。EQに関する記事が特集された。
こうしてみると、隔世の感がありますねえ。


しかし結局、それらの指数を頭の片隅に置きながらの教育が、ことごとく失敗扱いされています。


その後、ひらきなおったかのように、人間としての総合力だ、という究極の指数、PQ、パーソナル・クオウシエント、などというオールマイティーな指数を言った人もいますが、これはオールマイティーすぎて、なにを意味するのやら訳が分からなく、具体性が無く、実際面では使いようがありません。(提唱されている方、ごめんなさい)




さて、次。
今、まあまあアカデミックな世界で言われだしているのが、NQです。

もう、ピンときているでしょう。
Nは、ネットワーク。
つまり、ネットワークをつくる力です。
人間関係をつくっていく力。話しかける勇気、自分をさらけ出す技術。相手の気持ちを読む感性。そして、あいづち、うなずき、あいさつ、返事、その他の基本的な行動。
それから発展し、自分にとってのネットワークを知り、構築し、自分らしく活用していく力にしていくこと。人脈の作り方。



これが必要なんだって。

マイケル・ダルワースさんは、どちらかというと大人向けに書いたのでしたが、これが実は教育の世界、子どもの世界にも必要だ、ということです。

子どもがクラスの中で、いきいきと輝けるために、いちばん大事だったのは、このNQだったので!

ネットワーク、人間関係がうまく構築できないと、情緒も安定しない。
つまりEQが伸びない。
また、勉強する時間や気構えができませんから、成績も伸びません。
つまりIQが伸びない。
NQが伸びないと、結果、IQが伸びないのです。
すべてに優先する価値が、人間関係の力だったというわけ。
(つまりNQがいちばん根底にある力)


・・・だって。

上記は、わたしが言っているのではなく、早稲田大学の教育関係の先生が言っていました。


それを先日、講演で聞く機会がありました。

「たしかに、アスペルガーの子なんかがクラスからつまはじきにされてしまう背景には、人間関係の構築の問題が一番なので、これは非常にあたっているな」

と思いました。

クラスが荒れる、といいますが、荒れるのは、人間関係が荒れるのです。そこからクラスの空気が悪くなり、成績が下がる。やはり、NQ→EQ→IQの順に、影響が出ます。

授業の上手下手、それは優先順位としては最後なのです。
人間関係づくりがとてもうまくいっていて、教室の居心地がだれにとってもよいものであれば、みんながんばって勉強しようとします。ある程度の成績はのぞめるのです。

しかし、どれだけ先生の授業がうまくても、人間関係の構築ができなければ、最悪です。
いじめや乱暴な言葉づかいが蔓延します。しだいに勉強の意欲やモチベーションも下がり、けんかの仲裁や「くつかくし」などの失くしもの探しに時間がかかり、勉強時間が減ってしまって成績が下がります。学校は行事が多いですから、その行事への準備も、ことごとくうまくいきません。みんなで足を引っ張り合いますから、時間が通常のクラスの倍かかってしまいます。学習するべき授業時間が実質、なくなっていきます


まあ、授業の上手い先生は、学級経営も上手なことが多いですが。


やっぱり、NQですよ。これからの学校教育は!