叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

【6年理科】水溶液~酸とアルカリ その2~

.その1からのつづき。

9・炭酸カルシウムをクエン酸の粉末の上に直接おくと、溶けるだろうか。

「酸のはたらき」によって、カルシウムなどが溶ける場合があることが分かった。
わざと、子どもたちに、こう言う。
「ねえ、クエン酸の水溶液って、クエン酸を水に溶かしてつくったよね。
じゃあ、水で薄めるのではなく、クエン酸の固体、つまり粉末の上に直接カルシウムをのせたら、どうなる?」

この予想は面白かった。
溶ける・・・8人
爆発する・・・5人
溶けない・・・22人

まず、溶けるという子は、やはりクエン酸の粉自体に、ものを溶かす力があるのだ、という。
プラスチック容器は特別に溶けない物質だけど、クエン酸はカルシウムには強い、という意見。
つぎに、爆発するという子は、水で薄めても溶けるのだから、原材料のままであれば、さらに強力に溶かしてしまうだろうし、もしかしたら勢いが良すぎて、バンッ!ってなるかも、と言う。
最後に、溶けないという子たちは冷静で、溶けるというのは水分があるときに使う言葉だ、という。

やってみた。
こわごわのせてみたが、なにも変化が無い。
つまり、固体のクエン酸は、炭酸カルシウムを溶かすことはない。
「酸の働き」は、水溶液になった状態でのみ、はたらくのだ。


10・リトマス試験紙二酸化炭素を吹きかけると、酸性になるだろうか。

リトマス試験紙に直接、スプレー缶からCO2を吹きかける。
すると、どうなるか。
子どもたちは、ほとんどが、反応しない、と言う。
なぜなら、「水溶液にしないと、酸性にならないと思う」から。
前時までの学習が生きている。

やってみると、たしかに反応がない。青いままである。
分かったことは、「二酸化炭素は気体では酸性とはいえない」。


11・リトマス試験を水で濡らして、二酸化炭素を吹きかけると酸性を示すだろうか。

今度は、ビーカーの底を水で濡らし、そこにリトマス紙を貼り付ける。
そこへ、CO2を吹きかける。
子どもたちの予想は、「赤く変わる」である。
おそらく、CO2の一部が炭酸水のようになり、酸性を示すのではないか、というのである。

やってみる。
すると、きちんと反応して、赤く変わる。

「え?水に溶けたのかなあ?炭酸になったってこと?」
と、声があがる。
分かったことは、「二酸化炭素は水に溶けると酸性を示す」である。


12・水に、二酸化炭素を溶かすことができるだろうか。

炭酸水には二酸化炭素が溶けていた。
であれば、水に二酸化炭素をまぜたら、溶けるのだろうか、と問う。

予想させると、溶ける、と考える子がほとんど。

三角フラスコに水を入れた後、風船をつけ、フラスコ内に二酸化炭素をボンベから吹き入れる。
すぐに風船で口をふさぐ。
フラスコをゆすっていくと、あらまあ、なんと風船が中に吸い込まれて行くではないか!

風船とフラスコ


これを自分の言葉でまとめさせる。
二酸化炭素が水に溶けてなくなり、風船がフラスコに吸い込まれた。このことから、二酸化炭素の気体が水に溶けることが分かった」


13・塩酸(塩化水素水溶液)は酸のはたらきをするだろうか。どのように調べたらよいだろうか。

この13番目の課題が、もっとも大事な実験。
この実験の意味を理解し、実験の方法を自分で考案できるようになることが大事。
そのための準備が、1~12の実験であった。

自分の考えを書かせ、その後でしらべ方を確認する。
子どもたちからは、炭酸水の時と同じようなアイデアが出る。
炭酸水は弱い酸だったから、塩酸に炭酸カルシウムを溶かしても反応がないかもしれない、と考える子もいる。


☆子どもたちから出る実験の方法とアイデア

1 青色リトマス紙をつけてみて、赤くなるかどうか。
2 炭酸カルシウムを溶かすかどうか→(かなりの泡が出る)炭酸水より強い酸であることが分かる!

このときの反応が半端なく強いものであるので、
シュワー!!と泡が出る。

オオ!!!とどよめきが起き、「これ、強力や!!!」とみんな騒ぎ出す。

「これ、もっとすごいものが溶けるかもなっ!!」

と言い、マグネシウムの金属片を見せる。

子どもたちの目が、怪しく輝く。
「やってみる?」
「やるやる!!」


3 金属を入れてみる。

すると、なんと気体が出て、マグネシウムが溶けてしまう。
このことから、塩酸はものすごく強力な強い酸であることが分かる。

4 発生した気体をしらべる。

みんな、二酸化炭素だと予想する。
クエン酸のときも、炭酸の時も、どちらも二酸化炭素だったからだ。
やってみると、どうも石灰水が白く濁らない。
そこで、試験管に希塩酸を入れ、マグネシウムを入れて、出てきた気体を別の試験管をさかさまにふたのようにして上からかぶせ、集める。
試験管をさかさまにしたまま、火のついたアルコールランプの上にもっていくと、集めた気体に火がつき、ヒュッ! という音がする。これは水素であることを説明し、水素は燃える気体であることを教える。



ここまでで、6時間扱い。