ハテナ草(ソウ)と名付けて 春のたより
前述した、イヌナズナ。
まだ、この正式名称を、みんな知らない。
わたしも、知らないふりをつづけている。
子どもたちが、どこまでしらべることができるか、知りたいのだ。
「せんせい、あの草、ハテナ草だよね」
と子どもがつぶやいたのをきっかけに、クラスで「ハテナ草」という言葉が流行しだした。
もちろん、そうなるように、わたしがオーバーに反応しているからだ。
すると、さすが。
子どもたちはすんなりと調べてしまった。
それも、友達のお母さんに尋ねる、という方法で。
Mくんの家のすぐそばに咲いていたので、そのままMくんのおうちのお母さんに聞いてみると、
「あれはね、イヌナズナ、というのだよ」
と教えてくれたそうだ。
そのことを、朝一番に、職員室まで報告に来た。
報告に来たのがYくんで、それを教えてくれたおうちの、Mくんもいっしょだ。
Mくんは何をするでものんびりで、やることがわからないと固まってしまうタイプ。
でも、にこにこしながら一緒に来た。
Mくんは、手に、本をもっていた。
野草図鑑、という渋い、古そうな本だった。
みるとそこにだいだい色のふせんが、ぴょこり、と頭を出しているのが目に付いたので、
「これかな?」
と聞いてみると、はたして、そのページに
イヌナズナ
のイラストがあったのだった。
きちんと、ナズナとの区別まで書いてある。
食用にならないため、イヌナズナ、と名付けてあるそうな。
それを、大々的に朝の会でとりあげ、みんなで感心してみる。
○わからないことを、考え続けようとしていたこと
○わからないことは、どうやったら分かるようになるか、考えたこと
○実際に、大人の人に尋ねてみたこと
○わかったことを、みんなに紹介したこと
一番大事なのは、自分だけがわかった、としないで、みんなにもきちんと知らせようとしたこと、だろうか。
クラスの仲間とつながろうとした視点、態度、それが立派だった、ということを、子どもたちによくわかる言葉づかいで、何度も繰り返し、語っていきたいと思う。