叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

「まだ、まにあうのなら」 甘蔗珠恵子さんの手紙


地湧社のブックレット、増刊号として出たもの。
もともと1987年に出版された本の、改訂版が出た。
1987年といえば、あのチェルノブイリからそれほど経っていない年。
放射能汚染」や「ザ・デイ・アフター」という言葉に恐怖を覚えていた小学生のころだ。

それが、また今回の放射能汚染でもって、ふたたび出版された。
これを近所のおばちゃんから
「先生、こんなのをもらったから、読んでおくれ」
と、もらった。

そのおばちゃんも、別のおばちゃんからもらったらしく、どうやら読みまわされた揚句、わたしのところへ届いたシロモノらしい。
(どうやらそういった社会派のネットワークがあるようだ)

で、出会って読んでみたら、なんとなつかしい。
我が家に、どうやら同じ本があったことを思い出した。
母親が生協の食品を購入していた関係で、原発の資料はたくさんあった家であったが、おそらくこれもあった。なぜそれを思い出したかと言うと、姉といっしょにスパゲッティのことをしらべたからであります。わたしが小学校6年生の時。

なぜ、スパゲティが安いのか。
当時、スパゲティが急激に安くなっていた時期があるのですよ。1988年くらいかな。
一袋が激安価格の20円か30円くらい。大量にスーパーで出されていて、不思議に思った。
それを、夏休みの自由研究か何かで、姉がしらべていて、いっしょに私もなんとなくその話を聞いていた。(その研究はおそらく、小学校の担任の先生の指導があってだろう・・・)

結果、日本は放射能のチェックなどを消費者も厚生省もやらないから、ベクレルの高いスパゲティが欧米の国内では消費されず、ヨーロッパをめぐって日本に送られた、ということであった。結局チェックの甘い日本を、汚染食品を売りさばく市場として選んだのだ。

・・・悲しかった。


で、きちんとそのことが、載ってました。すごい記憶力だ。
たしか、スパゲティのことが載っているはず、と思ったら、やはり、P15に載ってました。
われながら、よく覚えていたなあ・・・。
当時のスパゲティ、なーんと、100ベクレルを超える値のものが、スーパーに出回っていたそうです。そんなん、しらんがな。今とちがって、線量計をみんながもっている時代じゃないから・・・。
あの当時、安いから、とスパゲティ、食べちゃった人、・・・(*_*)


科学雑誌ニュートンの編集長をされていた竹内均さん。
島根大学の大学祭で講演によばれたとき、
「この松江にほど近い港町にも原発がありますが、だいじょうぶですか」
と質問が出たのに答えて、
「いや、ソ連のはお粗末な炉であって、あんなチェルノブイリのような事故は日本ではおきようがないのです」
と説明しておられましたな。竹内さん、亡くなっていらっしゃいますが、天国でこの失言を悔やんでいらっしゃるでしょう。日本でも、メルトダウンが起きてしまいましたから・・・。


それと同じことが、この「まだ、まにあうのなら」には書かれている。

P19。
スリーマイルのとき、アメリカの事故を批判して、ソ連の政府報道官は
「あんな米国のような欠陥炉で起きた事故が、わが国の優秀な炉ではおきようがない」
と豪語したそうです。
しかし、残念なことに、ソ連でも起きてはならない事が起きてしまった。
メルトダウン。おきようのないことだったはずが。

次にソ連チェルノブイリのとき、事故を批判して、日本の竹内さんは
「あんなずさんな炉で起きた炉心溶融事故なんて、わが国では起きようがない」
と発言。
しかし、また残念なことに、日本で事故は起きてしまった。
炉の型がちがうから、日本では決して事故なんて起こらないはずだったのに・・・。


で、これで終わらないのですよ。

今回のフクシマのメルトダウン事故を聞いて、韓国の科学者が、
「日本のような地震多発国家ではありうるかもしれないが、我が国のハイレベルな炉では耐震設計もハイレベルで、事故はおきようがない」
と言ったそうです。

韓国なら大丈夫。きっと。たぶん。おそらく。
だいじょうぶじゃないのかなあ・・・と思うけど。



ま、いずれにしても、機械は故障するもの。
人は、時に、信じられないミスをするもの。
天災は、時に、信じられないくらい大規模に起きるもの。

でも、こんな暗~い話をどうやって子どもたちにしたらいいんだろう。
今年、教育の現場で、ぜったいにしなければいけない話題ですよね。
スルーしてはいけない問題です。


現場の教師は、ひそかに悩んでいますよ。
野田佳彦総理、ちょっとはこの小学校教師の気持ち、わかって。