叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

赤と白の応援団長 タイプがぜんぜん違う!


赤の応援団長は、いかにも先生の言うことを聞きそうな優等生タイプ。
白の応援団長は、なんでこの子が選出されたのか、と6年の担任の先生の考えを疑うような、非優等生タイプ。

と、ここまではまだ勝負は五分五分だが、やはり惜しいことに、優等生タイプがどうにも「鼻もちならない」タイプで、残念だ。
なんであんなに、自分を正しく、と頑張るのだろう。

対する白の応援団長。いわゆる、なんだか人気とノリだけでここまで来てしまった、という子。
ぜんぜんしっかりしたようにも見えない。なんだか見えないところではだいぶ手を抜きそうだし、練習もぐだぐだしているようにも見える。
ところが、こっちがなんとも楽しい雰囲気なのだ。いざ、やろう、となると、まとまってしまう。

これがせつないところですねえ。
教師とすると、白を叱りとばし、「赤の真剣さを見習え!」と説きたい場面ですが、白のくったくのない笑顔と目力(おもしろいことやってやろか)の魅力も、なんだか捨てがたいのを感じ取るわけです。
一応、お約束で、

「こらぁー、白はまだ声が出とらんわー」

と叱りますが、白はそれを聞くやいなや、はい、こっちもやってまーす、というノリでもって、「フレー~~!!」なんて奇声をあげてゲラゲラやっている。

「先生が見ている前で声がでていなかったら、やりなおしだぞ~」

といって、担当の先生もなんだかニヤニヤしながら校舎の方から、昼休み、練習中の中庭まで降りていこうとすると、あわてて6年生が4年生あたりに何かをしゃべっていて、あっという間に態勢をつくっている。

赤の応援は楽しくなく、白の応援は見ていて楽しい。
赤には眉間にしわがより、白のは口元にしわがよる。
赤の応援団長は、決められたことをきっちりしゃべる。5時間目にはゆうゆう間に合う。
白の応援団長は、下級生としゃべってばかり。それで5時間目に遅れそうになる。

今後、大きくなって成人し、たよりにされるのは、赤でしょう。
真面目で、誠実で、善悪をわきまえて、礼儀正しくて、明るくて、爽やかで、活発で、約束はキチンと守って、人からたよりにされるのは、やはりまじめな赤タイプでしょう。

ところが、知らず知らずのうちに人を傷つけるのは、赤タイプでしょうね。
ふとした拍子に人を救うのは、白タイプだという気がします。

どちらの子を育てようと思いますか。

教師としては、赤を思い切り誉めます。でも、努力やまじめな姿勢を誉めるのを最低限に抑えて、「けっこう、意外に、きみって面白いねえ」ということを誉める。「へえ、意外な面がたくさんあるんだねえ」という言葉を伝えます。(そうはまったく思えなくても、そういうところを無理やり見つけて伝えるのです。)将来、壁にぶつかった時に有効となるような言葉をかけておきます。

そして、白に対してはどのように接するのか。
白タイプに対しては、ほめることをあまりしません。
ただひたすら、感謝します。
「きみがいてくれて、おかげで学校がこんなに明るい」と・・・。