叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

ADHDの子に、絵本の読み聞かせ ペンちゃんギンちゃん


ご存知、現在の絵本売り上げの上位を突っ走る、超有名絵本作家の「宮西達也」先生の本。

<ペンちゃんギンちゃんおおきいのをつりたいね>

これがおもしろくて・・・


ただの読み聞かせではもったいない、という思いから、これをスキャンで読み取り、パワーポイントで見せられるようにしました。

(資料がほしい方は、メールをください)


さて、つくったからには、さっそくやってみたい・・・
連休の貴重な時間を費やして、つくったんだもの・・・


わくわくしながら学校へ行き、最初の時間に公開!

絵本を見ます。
あとでどんなお話だったか、聞きます。
ぜんぶ答えられたら、お話がしっかりと聞ける人です。
かしこい人は、ひとのお話をしっかり聞けるのです。
かってに、関係のないお話をしてもいい、と自分でかってに決めている人は、まちがっています。ここは教室ですから、みんなのお勉強のじゃまになるようなことをする人は、いられません。ほかのお部屋で、別のお勉強をしてもらいます。

(こういうような説明は、通常のクラスでは不要ですが、このときはたまたま、3年生のあるクラスもいっしょに私が面倒をみることになってしまったので、クギをさしておいた。3年生の有名なやんちゃくんとADHD傾向のある子も、少し、これで自己規制できるかもしれない)

勝手なおしゃべりをしてもいい、と自分で決めてしまっている人はいますか。手をあげてください。(やんちゃくんとADHDの子をやさしく見る。不安そうにしているが、手を挙げない。よかった・・・)
学校のルール、教室のルールで、みんなでなかよく勉強できる人だけで、やります。できる人、手をあげて。

全員のようですね。
では、たのしく、はじめましょう。


ここからは、きれいな画像をみながら、話をすすめていく。
リズムの良い文なので、子どもたちも非常にやりやすそう。
たのしい時間になった。


最初の、ペンちゃんがつった魚の絵、おなかのでかい絵を、わざと図形で隠しておいた。

「なに いってるのさ、ギンちゃん。あの サカナは、・・・」

ここで、3秒ほど、間をとる。
落語家の柳家小三冶の間が参考になる。

「おなかがおおきかったんだよ!」

と声をわずかに張りながら、話し手の目も見開いて、おおげさに語る。
同時に、シェイプの図形を外し、でかいコミカルな魚の絵を見せる。

大ウケ!!


笑いがしずまらないうちに、

「そのときです。こんどはギンちゃんのつりざおがピクピク・・・」

口を開いて笑ったままの顔で、子どもたちが一気に集中してくる。
目は、画面にくぎづけ。

「あっ!タコだ!」

「タコタコ!!」
子どもたちも、反応する。

これが、タコやイカやうなぎで、<変化のあるくりかえし>として登場。黄金のルールですなあ。これを発見された先生を尊敬いたします。

最後の方、けんか別れしそうになる、ペンちゃんとギンちゃんの部分は、すこし、ためをつくりながら、ゆっくりめに読む。少し、淡々と読む。
子どもたちが、なにか考えそうになっている。
(ああ、こんなこと、ありそうだなあ。よくあるなあ。)という顔をしている。

この絵本のいちばんのセリフ、肝の部分は、みなさんはどこだとお考えになるだろうか。
観点や、重点の置き方によって、教師の読むポイントが異なってくるだろうが、わたしなら、ここをいちばんのキーだと思って読む。

「うん。」

最後のくじらのページの、ギンちゃんのセリフ。この、「うん」。
これが、もっとも重要なセリフである。

次点が、
「そ、そうだね。」

ペンちゃんのセリフである。

このお互いの同意が、いちばんのポイントだと考える。


そして、

「うん、とか、そうだね、と言ってもらえると、うれしいよね。それか、そうかもしれないね、でもいいね。」

「ちがうよ!!と最初からいうんじゃなくて、そうかもしれないね、と言ってもらえたら、けんかにはならなかったかもね」

なーんて・・・

なにかのときに、この場面をひっぱりだして、道徳でも使えそうだ。


さて、ADHDの子と超やんちゃの子。3年生の2人は、たしかにくじらのシーンで他の子は立たないのに勝手に立ちあがって、大騒ぎをしていたが、わたしがそれを完全に無視し、他の子を相手にクイズをすばやく出しながら、いい姿勢の人に当てます、と言った瞬間に座っていたので、・・・ほっとしました。