叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

叱らないでもいい子どもってどんな子?

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というご意見・ご質問を、メールでいただきました。(←本ブログ、私、新間宛のメールが出せます)


その方は、結婚式場で、隣のテーブルに座ったやんちゃ坊主くんに、ジュースをひっかけられたそうです。

それも、一張羅の、大事にしていた、着物に!!!

ところが、その親が謝るばかりで、当人の子どもはへらへらしていた、ということ。

で、それが許せない、と。


大声で叱りつけたかったが、結婚式場だったのでそれはやめた。

でも、親が大声で叱責するのが当然だろう、それをしない親は、クズだ、という主張です。

親が、大声で叱るかと思いきや、そうではなかった、ということのようです。

なんで最近の親は、ちゃんと子どもを叱らないのか、と、怒り心頭に発し・・・ていた折に、このブログを見つけた。



ところが、本ブログのタイトルは、なんとも挑発的なタイトルでありまして、

「叱らないでもいいですか」

なーんて書いてありますから、ムッとされたようで、

こんな自分のような目にあった者からすると、叱らないでもいい子どもなんて、いない!


・・・という結論でした。




わたしには、どちらが正しいかは判断ができません。

でも、おそらく、叱るのは、徒労です。




叱ることで、問題が複雑になり、絡み合い、理解不能になっていきます。

「お母さんが、何を言っているか、分からない」

という子、多いです。

大人がカッカしながら、なにかものすごい勢いで、口角泡を飛ばしながら言うこと。

意味が、さっぱり、分かりません。



分からないけど、勢いがすごいのと、圧迫感、脅迫されたような脅され感が強いので、ともかくも、訳の分からないまま、大声で、

「すみませんでした!!」

と言いながら、泣くのです。

あとで、なんで泣いたのか、と聞くと、

「あのね、泣かないと、許してもらえないの」




この状態の子どもを知らないから、

叱るのが当たり前

と、考えてしまうのでしょう。





叱る

が、

もしかすると、ちっとも意味のないことだったら・・・

あるいは、

「お母さんって、・・・ちっとも、わけがわかんない」

という、認識につながっているとしたら・・・



この方は、

子どもは、大人がどうして叱っているのか、その理由くらい、目の前で話を聞いているんだから、分かるでしょう!!

と思っているようです。



ところが、分かっていないのです。

子どもが、着物にジュースをかけた、というので、腹を立てて怒った、という話がありましたが、

○自分がジュースをこぼした、ということが分かっていない可能性
○着物にジュースがかかった、ということが分かっていない可能性
○着物にジュースがかかると迷惑だ、ということが分かっていない可能性
○着物は簡単にクリーニングできないものだ、ということが分かっていない可能性
○ジュースがかかるとしみになる、ということが分かっていない可能性
○着物は高価なものだ、ということがわかっていない可能性
○今後、その着物を着て出かけようとしていたイベントに、このままでは出席できなくなるということの意味が分かっていない可能性
○混乱を引き起こした、という意味を理解できていない可能性
○披露宴に出席中の現在、簡単に着替えができないという切羽詰まった状況にあることの意味を理解できていない可能性


・・・おそらく、こういったことの多くを、子どもは理解していないのです。


「そんな、ばかな!!」


でも、事実は、おそらく、そうです。


いくら、鬼のように叱りつけても、

教育効果がない、ということが、あるのです。




まあ、怒りたくなる気持ちとか、
着物が汚されて、悔しいとか、
子どもの表情が気にくわないとか、
謝って当然なのに、とか、
親のしつけがなってない、と言いたいとか、

ともかくも、泣きたい気持ちはわかります。

高い着物なんだし。



あー、もうっ!!!!

叫びたい!!!!



叫ぶのは自由ですが、そこに、おそらく教育的な意味合いは見いだせないでしょう。


ちくしょう!!

許さねえっ!!!



いくら怒鳴りつけても、脅迫しても、小突き回しても、

それでも、そのことについて、「大人の気持ちへの共感」は無理なんです。
子どもの身からは、できないこともあるのです。
意味が分からない、という世界が、あるのです。
知らないのです。
理解できていないのです。

・・・


「他人の着物にジュースこぼして、悪いと思わないわけがないでしょう!!」

お怒りの気持ちはわかりますが、

「悪い」

という意味ですら、すでに、当人(子ども)にとって、分かっていない可能性だってあります。

「悪い」の意味が、すでに、理解できない、という子も、いるのです。

「良い」とか「悪い」という価値理解は、教えて身につけさせるものですから。

どうやら、人間には、生まれつき、善悪の概念がある、というわけでもないようなので。




また、「迷惑」、という言葉の概念が、つかめない子どももいます。

「悪い」という言葉の意味が、どうもピントのずれた感覚でしか、理解できない、という子どももたくさん、います。




着物を汚されて、


コイツ、気に食わねえ!!
ヘラヘラしやがって!!!


となるのは、分かりますが、実は、

ショックを受けて、困りきっているのはあなたで、

子どもは困っていないのです。

どちらを救わなくてはならないかと言うと、

この場合は、子どもではなくて、困りきって混乱しているあなた、というわけです。




(あ~、ちょっと刺激が強すぎたかも。こんなふうに書いたら、ひく人、多いだろうなあ)