入学式以後の10分間に「小学校生活のすべて」がある
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たまに夢を見ます。
わたしの夢は、解説付きなのが特徴で、NHKのアナウンサーの声で、
「・・・さらに進んでいくと、洞窟の中身が明らかになってきました」
なんて感じの説明が入る。
カメラはどんどんと洞窟を進んでいくし、ライトが適切な個所に当たるのもポイント。
自分は内心、
「照明!もっと、明るく」
とか、
「ここはカメラがもっと寄れよ」
とか、言ってる。
おそらく前世がNHKの取材班だったのだろうと思う。
ところで先日見た夢は、入学式を特集する番組でした。
Aくんが、入学してから、いかに学校生活に馴染んでいくか、というドキュメンタリー。
番組は入学式の場面。
講堂(体育館)の壁面には、小学校の校章らしきものが見え、入学式おめでとう、という垂れ幕もある。
紺色のブレザーに身を包んだ新入生たちが、手をつないで男女なかよく入場しているところ。
Aくんは、校長先生やPTAの方に祝福の言葉をいただいて、真剣な目つきで座っている。
式が終わると、胸に大きなコサージュをつけた、薄紫の上品なスーツを着た年配の先生が先頭を歩いていき、そのあとを、新入生はボチボチと歩いていく。
廊下で2列になっているが、手をつないでいる子もいれば勝手にあちこち見に行こうとする子もいて、まあ2列なんだか3列なんだか、それとも4列なんだか・・・という状況。
先生は何も叱らず、ともかくやさしい微笑みをうかべて、自分について歩いてくる子どもたちを見守っている。
わたしは保護者といっしょに歩いてあとをついていった。
ということは、保護者だったのかな?
自分の立ち位置が、よく分からない。
さて、教室に入ると、机にでかでかと、なまえが貼り付けてある。
トイレをすませた子どもたちは、自然と自分の席にすわる。
そして、前をむいて、いい子にしている。
机の場所を動かし、向きをナナメにする子がいたが、先生が床のしるしを指さし、笑顔のまま、軽く直してくれている。その子は、床の線に気付いて、
「ああ、なるほどな。合わせる線があるんだ」
と理解する。
自分の席について、自然と先生の方向を全員が向く。
そして、しばらくの間、先生の話を聞く。
静かに黙って聞いていられたことや、
おなかの前に、グーひとつ、という座り方を教えられた子どもたちは、
もうすっかり身も心も1年生に染まってきている。
さて、この後、もう一度、体育館で写真撮影があるので、行かねばならない。
クラスごとの順番で、体育館で撮影があるのだ。
保護者も腕時計を眺めたり、廊下の掲示物を眺めたりしながら、ゆるゆると体育館へ移動する。
子どもたちが、廊下にならぶ。
みると、驚く。
今度は、きちんと、2列に並んでいるのだ。
さっきの4列だか5列だか、という状態は、すっかり消えてしまった。
もう、子どもたちの目は、1年生になったのだ、という気持ちで輝いている。
順番で並んでいる子の中に、トイレから遅れてもどり、列に入ろうとする子がいる。
先生が、スッと指をさすと、そこに自然に加わることができる。
前後の子は、空間をあけて、一人が入れるように、譲り合う。
見事な動きだ。
そこから、歩き出した子どもたち。
もう、先生のあとをしっかり歩いていく。
2列、右側通行。
「右側を歩きますよ。先生の歩くところです。廊下の、こちら半分側です。」
先生の説明で、歩く場所を理解した子どもたち。
どうやら、自分のいるべき場所が、この学校という空間では、きちんと決められているものらしい。
子どもたちの後ろから、保護者がしずかに、静かにつらなって、歩いていく。
さきほどの、雑然とした様子はもうすっかり見る姿もない。
静粛に、緊張して、歩いていく、子らの姿は、もうすっかり・・・。
頭の中に、ナレーションが聴こえてきた。
「・・・ここに、小学校生活のある側面が、たいへん明確に、現れています。入学式以後の10分間に「小学校生活のすべて」があるのです」
いつも、『NHK クローズアップ現代』で聴く、あの国谷裕子さんの声だった。
子どもが、いかに規格化されていくか。
最初の10分間に、すべて詰まっていたんだね。
たまに夢を見ます。
わたしの夢は、解説付きなのが特徴で、NHKのアナウンサーの声で、
「・・・さらに進んでいくと、洞窟の中身が明らかになってきました」
なんて感じの説明が入る。
カメラはどんどんと洞窟を進んでいくし、ライトが適切な個所に当たるのもポイント。
自分は内心、
「照明!もっと、明るく」
とか、
「ここはカメラがもっと寄れよ」
とか、言ってる。
おそらく前世がNHKの取材班だったのだろうと思う。
ところで先日見た夢は、入学式を特集する番組でした。
Aくんが、入学してから、いかに学校生活に馴染んでいくか、というドキュメンタリー。
番組は入学式の場面。
講堂(体育館)の壁面には、小学校の校章らしきものが見え、入学式おめでとう、という垂れ幕もある。
紺色のブレザーに身を包んだ新入生たちが、手をつないで男女なかよく入場しているところ。
Aくんは、校長先生やPTAの方に祝福の言葉をいただいて、真剣な目つきで座っている。
式が終わると、胸に大きなコサージュをつけた、薄紫の上品なスーツを着た年配の先生が先頭を歩いていき、そのあとを、新入生はボチボチと歩いていく。
廊下で2列になっているが、手をつないでいる子もいれば勝手にあちこち見に行こうとする子もいて、まあ2列なんだか3列なんだか、それとも4列なんだか・・・という状況。
先生は何も叱らず、ともかくやさしい微笑みをうかべて、自分について歩いてくる子どもたちを見守っている。
わたしは保護者といっしょに歩いてあとをついていった。
ということは、保護者だったのかな?
自分の立ち位置が、よく分からない。
さて、教室に入ると、机にでかでかと、なまえが貼り付けてある。
トイレをすませた子どもたちは、自然と自分の席にすわる。
そして、前をむいて、いい子にしている。
机の場所を動かし、向きをナナメにする子がいたが、先生が床のしるしを指さし、笑顔のまま、軽く直してくれている。その子は、床の線に気付いて、
「ああ、なるほどな。合わせる線があるんだ」
と理解する。
自分の席について、自然と先生の方向を全員が向く。
そして、しばらくの間、先生の話を聞く。
静かに黙って聞いていられたことや、
おなかの前に、グーひとつ、という座り方を教えられた子どもたちは、
もうすっかり身も心も1年生に染まってきている。
さて、この後、もう一度、体育館で写真撮影があるので、行かねばならない。
クラスごとの順番で、体育館で撮影があるのだ。
保護者も腕時計を眺めたり、廊下の掲示物を眺めたりしながら、ゆるゆると体育館へ移動する。
子どもたちが、廊下にならぶ。
みると、驚く。
今度は、きちんと、2列に並んでいるのだ。
さっきの4列だか5列だか、という状態は、すっかり消えてしまった。
もう、子どもたちの目は、1年生になったのだ、という気持ちで輝いている。
順番で並んでいる子の中に、トイレから遅れてもどり、列に入ろうとする子がいる。
先生が、スッと指をさすと、そこに自然に加わることができる。
前後の子は、空間をあけて、一人が入れるように、譲り合う。
見事な動きだ。
そこから、歩き出した子どもたち。
もう、先生のあとをしっかり歩いていく。
2列、右側通行。
「右側を歩きますよ。先生の歩くところです。廊下の、こちら半分側です。」
先生の説明で、歩く場所を理解した子どもたち。
どうやら、自分のいるべき場所が、この学校という空間では、きちんと決められているものらしい。
子どもたちの後ろから、保護者がしずかに、静かにつらなって、歩いていく。
さきほどの、雑然とした様子はもうすっかり見る姿もない。
静粛に、緊張して、歩いていく、子らの姿は、もうすっかり・・・。
頭の中に、ナレーションが聴こえてきた。
「・・・ここに、小学校生活のある側面が、たいへん明確に、現れています。入学式以後の10分間に「小学校生活のすべて」があるのです」
いつも、『NHK クローズアップ現代』で聴く、あの国谷裕子さんの声だった。
子どもが、いかに規格化されていくか。
最初の10分間に、すべて詰まっていたんだね。