叱らないでも いいですか

「叱らないで、子どもに伝える・通じ合う」 小学校教師、『新間草海』の本音トークです。

運動会のグランドの釘のこと

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人間である子どもたちを、

世間に引き寄せようとする。


そのことに、わたくしは、虚しささえ感じる。




逆に、自分の方が引き寄せられてしまう。

世間の枠からはみ出て、子どもたちが住む、

世間の価値とはズレた場所へと


誘い込まれてしまう。



ここに、ある意味、面白みを感じ、ある意味、厄介さを感じ、その狭間で、考え、考え、しながら過ごしてきたのが、これまでの約十年間の歩みだったと言えるのではないか。



とうとう、わたくしは、ついに、「世間知らず」と呼ばれても、平気だ、と、思うようになった。

(その代わり、「人間知らず」と呼ばれたくはない、と強く思いますネ)


さて、わたしくは教師として、堕落しているのでしょうか。

「世間」と「人間」。
どちらに軸足を置いたら、いいのでしょう。






運動会で、

「勝つぞ!オーッ」


とは思わない子が小学校にはとても多いのですが、運動会の感想文に、

「勝ってうれしかったです」

と教科書通り、大人の期待通りに書く子は多いのです。

しかし見ていると、どうもそれは本心ではない。

どうやら、そう書くものだと思って書いているだけのような気がします。



教師から見ると、感想文に、どうも期待外れのことを書く子がいる。

ある子は、運動会のグランドに、先生たちが長い釘(グランド用の鉄ピン)でしるしをつけたのを見て、そのことばかり、書いた。


「わたしは赤組で、赤組を応援しました。」
「赤が勝ったので、嬉しかったです」


そうも書いているから、そういう気持ちもあったんだろうけど、それよりも・・・

「運動会で、わたしは先生たちがつけていたピンク色のリボンのついたしるしのところを、こっちゃんといっしょにたくさん見つけて歩きました。きゅうけい時間にかぞえたら、48本ありました。2年生はピンクで、3年生はみどりと青でした。3年生は、みどりのところで、台風の目のリレーをやりました。4年生はき色のところでソーラン節をおどりました。わたしはいちばん多いのはなに色かなと思ってしらべたいなと思いました。赤が勝ったのでうれしかったです」

だって。



いや、いい作文ですよ、
たしかに、いいんだけど・・・。



作文としては、どうなんだろう。

ことに運動会の作文としては・・・。

なんで、自分が出場した競技のことを書かないのか!

赤が負けそうになったときに、ちくしょう!負けるものか!とテンションが上がった時のことを書かないのか!!

と思う先生もいるのだろうと思う。



でも、そういう指導に、だんだんと、違和感が出てきちゃった、というのが、現在です。

(つづく)
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